賃貸アパート経営の投資リスクとは?プロが業者のカモにならないコツを告白

賃貸アパート経営の不動産投資の注意点 不動産投資

今回は、長年、不動産業界で賃貸アパートの経営などで成功してきたヒロさんが、アパート経営の注意点について語ります。

 

例えば、駐車場であったり農地であったり、遊休地の土地や古いアパートを持っている人、

特に相続税が多額になる不動産を持つ人に対して、賃貸アパート経営の誘いは多いです。

「賃貸アパートやマンションを建てて、土地活用を有効活用しませんか。借入金で相続税を無くせば、利益も残るし、将来の心配はいりません。」

このような相続税対策のアパートの賃貸経営については、どう判断したらいいですか?

賃貸アパート経営は、周囲の相場や将来性も考えて収支を慎重に計算した方がいいですよ。

 

また、最近では、レオパレスの施工不良問題が話題なるなど、アパートの賃貸経営は、パートナーになる業者選びには、注意が必要です。

 

今回の話も宅建士を取得して、これから不動産業界で働きたい人も、知っておく方が良い知識です。

なぜなら、相続税対策のために不動産を有効活用したいニーズは、将来も需要があるからです。

副業の不動産投資の注意点:賃貸アパート経営の不動産投資の注意点

賃貸アパート不動産経営の投資リスクとは?

賃貸アパートの不動産経営の投資リスクは幾つかあります。

一番の問題は、新築の時は入居者が満室でも、それがいつまでも続かないことです。

 

10年以上経つと物件自体が古くなるので、入居者が入りにくくなり、空室が増えるリスクがあります。

 

また、修繕費もかかるので、そのような将来的な出費もみておく必要があります。

 

アパート経営は、不動産投資でも人気がありますが、このような将来のリスクにも十分に注意する必要があります。

賃貸アパートは税金対策のメリットが出るか?

遊休地やアパートの建て替えを進める営業の時には、必ず出てくる言葉がいくつかあります。

税金対策」というキーワードです。

 

賃貸住宅を建設し、所有すれば、所得税や相続税など税的に有利になる点があります。

アパート経営はなぜ税金対策になると言われるか?

土地の相続税対策にアパート経営が最適だと言われる理由は、税金の優遇策にあります。

 

更地の土地に建物を建てれば、固定資産税の評価は60%に下がります。

さらにアパートなどの貸家を建てれば、貸し家評価で70%と、さらに土地の評価が低くなります。

 

これは、土地を住居用の建物などを建てるのが、一番税金面では有利になるので、賃貸アパート経営を勧誘する業者が多いのです。

低金利と有効活用が不動産投資のキーワード

また、最近よく出てくる言葉は「低金利」という言葉です。

これは2つを意味します。

「低金利の時代だから、賃貸経営に乗り出しましょう。」

「低金利だから借り入れをしても大丈夫ですよ。」

 

また、「有効利用」ということも言われます。

「ご先祖が残された、せっかくの土地ですから、有効に使いましょう。」ということです。

 

では、果たしてアパート経営は本当に税金対策となり、儲かるのでしょうか?

それぞれ、部分的には間違ってはいないです。

 

税制面では有利になるかもしれませんし、確かに金利は低いです。

そして、空き地に賃貸住宅が建てば見栄えもよくなります。

 

しかし、全体的に見れば、賃貸住宅を建てることがきっかけで、すべて悪くなるリスクもあります。

税金や金利面では得をしたかもしれないけれど借入金が払えないと、先祖代々の土地を手放す結果になりかねません。

 

賃貸アパートは2020年以降は空室のリスクが高い

賃貸アパート経営は、ライバルもまだ少なく、日本も人口が増えている時は儲かりました。

しかし、現在は東京などの人口が多い1都3県であっても空室問題を抱えるアパートも少なくありません。

 

深刻なのは、ローン残高増とともに空室率も上昇する傾向があることです。

賃貸アパート経営の不動産投資リスク:ローン残高と共に空室上昇

日本銀行は全国のアパートなど貸家の入居戸数が2020年をピークに減少すると推計している。

物件の供給過剰に人口減少が重なり、“大空室時代”到来が懸念される。

(引用:「東洋経済:大空室時代が到来、ブームから生存競争へ」2018/04/16より)

実は、先祖代々の土地持ちで裕福そうに見えても、賃貸アパート経営などで失敗して資金繰りに苦しむ地主も少なくありません。

 

また、特定の地域に賃貸アパートやマンションなどが乱立すると、価格競争にも巻き込まれて、収益が上がらないリスクもあります。

アパートの工事建築費が業者の収益源になる

彼等の狙いは、とにかく建築工事を受注することです。

通常、アパートを1棟建てれば、億単位の契約になるでしょう。

それが彼等の一番の収益源になります。

 

それ以外にも後々の賃料や管理料等からも収益は得られるかもしれません。

しかし、あくまでも彼等の売上を立てるビジネスモデルは、工事の受注で成り立っています。

 

建築工事は、彼らが指定する業者でしか行えず、自分の頼みたい業者には発注できません。

家賃保証などはその収益で家賃の保証分をカバーしている場合もあります。

よってアパートの建築工事費は、相場よりも高くなる場合がほとんどです。

 

また、営業マンは請負代金のうちの4〜5%の手数料を収入にすることができます。

ただし、半年に1棟分の受注をノルマとして求められる厳しさはありますが、

 

元々の金額が1億近い金額になりますから、手数料が数%でも400万〜500万と大きくなり、営業も儲かりますよね。

不動産投資の営業の説明を聞くときの注意点

説明の際には、きれいなプレゼン資料を用意して、数字に基づいて説明してくれます。

しかし、その数字の多くは現在の状況が、大幅に悪化することなくそのまま続くという前提になります。

確かに新築時はすぐに満室になるかもしれませんが、建物が新しい間だけです。

入居者が2回りぐらいする10年前後が過ぎると家賃相場は低下し、代わりに空室率と修繕費用は上昇します。

税金上とキャッシュ(現金用)の利回りは違う

ここで、実際に一般的なアパート経営のシュミレーションをしてみます。

 

【アパートの事業計画】・物件概要:木造 1棟6世帯 6,000万円

・資金計画:自己資金 1,000万円

・借入金額5,000万円 返済期間30年

・事業計画:賃料1世帯60,000円/月(432万円/年) 稼働率95%

税法上の事業収支 

※ 45,000円×6部屋×12カ月×稼働率70% = 226万円

項目 当初 25年後  
収入  家賃 410万円 226万円 ▲184万円
支出 減価償却 240万円 0万円  
利息 150万円 30万円  
固定資産税 20万円 12万円  
修繕費 10万円 60万円  
管理料 20万円 11万円  
損益 ▲30万円 113万円 143万円
所得税・住民税 0万円 20万円  

事業収支は、税法上黒字になる 

現金上の事業収支 

※ 45,000円×6部屋×12カ月×稼働率70% = 226万円

項目 当初 25年後  
収入  家賃 410万円 226万円 ▲184万円
支出 固定資産税 20万円 12万円  
修繕費 10万円 60万円  
管理料 20万円 11万円  
ローン返済 253万円 253万円  
所得税・住民税 0万円 20万円  
収支 107万円 ▲130万円 ▲237万円

25年後には、 収支が当初よりも▲237万円 も減る計算

 

この収支計算をみていると当初は毎月、100万円以上の黒字でも、15年目頃でトントンになり、それ以後は持ち出しになります。

ローンの返済期間は30年間なので、売却したくてもできない出口がない投資を続けていくのは難しいです。

損が出ない額で売却できない限りは、相続税対策のつもりで始めたアパー
ト経営が、かえって赤字になります。

家賃保証は途中で家賃を下げられるリスクがある

アパートの客付が十分にできなくなった時に、彼等がよく使う「補償」は「空室保証」です。

 

昔は「家賃保証」という言葉を使っていましたが、最近ではあまり使わなくなっています。

それは、家賃収入自体を保証することは無理だからです。

 

代わりに家賃と下げてでも、一定数の入居者を確保するという「空室保証」といった言葉が使われるようになっています。

 

しかし、家賃が下がってしまえば、十分な収益が確保できなくなる可能性もあります。

 

遊休地等を利用した賃貸住宅の建設は、相続税などを心配する土地所有者の弱みにつけこんで、物件建設を勧めてきます。

アパート経営に失敗した人ばかりではありませんが、業者の収益を上げる方法などの裏事情も含めて、慎重に判断する必要があります。

 

アパート経営で騙されないリスク回避の方法とは

素人でも業者のカラクリが見抜けるように、簡単に不動産物件の利回りを計算する方法はありますか?

相続税をちゃんと計算するとなるとそれなりの調査が必要になります。 あとは、納税額よりも実際のキャッシュフローを重視しています。

 

何か専門の計算用のソフトは使用していますか?

項目はできるだけ細かく想定していきますが、専門的なソフトを使うようなことはしません。 できるだけシンプルに把握するようにはしています。

 

1番怖いのは、キャッシュが不足することだと思っています。

単純に物件を買うのに、いくらかかって、いくら収入があって、いくら経費や利払いがあって、どれぐらい手元に残るかという感じです。

減価償却とか、複雑なものを入れていくと、かえって事業の本質が見えなくなるような気がしています。

 

ザックリで良いので、賃貸アパート経営に必要な予算と実際に得られる収入との損益点を把握する事が大切です。

数字に弱い人は、信頼できる税理士に相談して、収支を計算してもらって下さい。

業者が持ってくる収支計算書だけを信じてはいけません。

 

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