公務員は「国家公務員」と「地方公務員」の2種類があります。
「国家公務員」は主に東京・霞ヶ関の中央官庁に勤め、「地方公務員」は地方自治体の市役所や県庁などに勤める人です。
2019年の公務員数は、国家公務員が約58万人、地方公務員が約274万人(引用:公務員の数より)
地方公務員が全体の8割を占めます。
地方公務員と国家公務員の一般職の採用試験範囲は
ここでは、試験内容や最近の重視される傾向と対策を紹介します。
Contents
地方公務員の採用試験とは
地方公務員の採用試験は、受験料は無料で普通の就職試験と同じです。
日程が重ならなれば、併願が可能ですが、一般的には同じ職種の日程は同一日程で実施されます。
公務員試験の概略
公務員試験は、一次が筆記試験で二次が面接などの人物試験が行われます。
一次試験を通過した人のみが二次試験に進めます。
1次試験 | 2次試験 |
【筆記試験】
・教養試験/専門試験 ・論文試験 |
【人物試験】
・ES(エントリーシート) ・面接 |
全ての公務員の試験に必須の科目 ◉
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・一般知能科目(公務員試験特有の科目)◉
・一般知識科目(大学受験出願科目)◉ |
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・行政専門科目、理系・建築専門科目など |
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・一般論文◉
・専門論文 |
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・ES(エントリーシート) ◉
・面接試験(個別面接)◉ ・面接試験(集団面接) ・集団討論 |
「集団面接」とは、受験生も面接官も大人数の面接形式のことです。
また、集団で討論を重ねる「集団討論」も試験に取り入れている採用先もあります。
筆記試験の内容
筆記試験は大きく分けて「教養科目」と「専門科目」の2つです。
「教養科目」は、「一般知能科目」と「一般知識科目」が出題され、全ての職種に必須です。
一方、「専門科目」は職種の専門区分によって内容が変わります。
教養試験の正解率の合格ラインは6割と言われています。
出題範囲が膨大なので、頻出の分野を集中的に攻略するなど効率のよい学習法の実践が必要です。
教養科目:一般知能分野の試験内容
公務員独自の基礎能力を測る試験です。
「数的処理」と「文章理解」の2科目があります。
「知能分野」の試験は、単純暗記ではなく、計算能力、論理的思考力や経験学習力が問われます。
特に直ぐに解ける問題ばかりではないので、演習問題に慣れる訓練が必要です。
【数的処理】
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方程式、不等式、速度算、濃度算、整数、確率 |
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論理、集合、暗号、嘘つき問題、順序・位置関係 |
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立体の構成・切断などの図形の観念的な問題 |
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表やグラフなどの資料の読み取り問題 |
【文章理解】
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出題される問題は少ないです |
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大学受験用の英語の問題が出題。文法の対策も必要 |
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文章に対する「内容把握」「要旨把握」の形式のもの |
教養科目:一般教養分野の試験内容
「社会科学」「人文科学」「自然科学」の3分野から出題されます。
範囲は広いですが単純な暗記問題が多く、1科目あたりの出題数が少ないです。
深入りするよりは、広く浅い効率の良い勉強が求められます。
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政治・経済 / 社会時事 |
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日本史 / 世界史 / 地理 / 思想 / 文学・芸術 |
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物理 / 化学 / 生物 / 地学 / 数学 |
専門科目
一般的な行政職(事務職)では、「法律系科目」「経済系科目」「行政系科目」の3科目が主に出題されます。
【ほとんどの職種で出題】
法律系科目 | 憲法 / 民法 / 行政法 |
経済系科目 | 経済原論 / 財政学 / 経済事情 |
行政系科目 | 政治学 / 行政学 |
【いくつかの職種で出題】
法律系科目 | 刑法 / 労働法 など |
経済系科目 | 経営学 / 経済史 / 会計学 など |
行政系科目 | 社会学 / 国際関係 / 社会政策 など |
受験要件
公務員試験は、年齢、学歴、専攻、資格免許、住所など採用に条件があります。
国籍条件
日本国籍を有する事が条件ですが、地方公務員の採用試験では国籍要件が撤廃されている自治体もあります。
欠格条項に該当する人は受験できない
以下の欠格条項に抵触する人は、適性を欠くと見なされ試験は受験できません。
【欠格条項】
- 成年被後見人、被保佐人(準禁治産者を含む)
- 禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでの者、又はその刑の執行猶予の期間中の者
- その他その執行を受けることがなくなるまでの者
- 〇〇として懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない
- 日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
公務員試験対策のスケジュール
1)受験先の選定 ・どこの自治体を受験するか決める
採用職種とそれぞれの試験についてリサーチ
2)筆記試験と人物試験の準備 (ES(エントリーシート)対策も早めにする)
3)出願準備 出願のタイミングでESの提出が求められている
(適当に出願すると面接で痛い目に合う)
4)筆記試験
5)人物試験
6)最終合格・内定
試験の難易度は職種によっても変わる
出題との相性もあるので過去問を確認
公務員の採用は、「大学卒程度」「短大卒程度」「高卒程度」と学歴に合わせたレベルで難易度が異なります。
地方公務員上級職(県庁、政令指定都市の試験) | 「大卒程度」 |
地方公務員中級職 | 「短大卒業程度」 |
地方公務員初級職 消防官・警察 | 「高校卒業程度」 |
最近の公務員試験の傾向
以前の公務員試験は、事務処理能力が一番重視され筆記試験の得点が高い人が有利でした。
しかし最近は、人物試験が重視される風潮に変わり、論理的思考力や人間性を最重視した採用が行われています。
筆記試験では、基本的な頭の良さを審査しますが、二次試験は筆記試験では測定できない要素の審査をするのが目的です。
一次試験は足切りに利用するところがほとんです。
一次試験にギリギリでパスしても、場合によっては2次試験の論文や人物試験で一発逆転も可能です。
【変化した評価項目】
事務処理能力 → 仕事をする能力
論理的思考力 → 職業や組織への適性
数字を扱う力 → コミュニケーション能力
地方公務員の試験対策で必要なこと
筆記の択一試験は「足切り」にならない学習で6割の正解率を狙うことです。
筆記対策よりも大切な事は、自分が興味を持てる仕事を見つけるためにリサーチする事です。
自分が応募したい自治体の研究も面接官と話をするためには必要です。
「この人は自治体や住人に貢献できるのか?」
「私は自治体や住人に貢献できる人材です」ということをわかりやすく説明できることが必要です。
貢献できる根拠を説明するときは、自分のエピソードを伝えると効果的です。
マニュアル化されたような無難な返答をするよりも、自分の言葉で伝える方が相手に響きます。
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