二級建築士と宅建は、適切な努力をすれば、確実に合格できる中レベルの難易度の資格です。
また企業からの求人数も多く、転職をしたい人にも根強い人気があります。
よって、この2つの資格は、よく合格率や難易度が比較されます。
転職を有利にする為には、どちらを先に取得すれば良いか?
以前、資格を検討中の人から相談された事もあります。
両方の資格の所持者になれば転職に強いですが、忙しい社会人が1年以内に2つの国家資格を同時に取得する事は大変な事です。
転職で使える資格試験だけに効率よく合格したい人は多いです。
今回は、そんな注目の宅建と二級建築士の合格率と難易度の比較します。
どちらの資格取得が転職に有利か?なども私の周囲の経験談からお伝えします。
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Contents
宅建(タッケン)と二級建築士の合格率と難易度を比較
まずは宅建と二級建築士の合格率を比較してみましょう。
宅建は学科試験だけ、二級建築士は学科と製図試験の2つがあります。
宅建と二級建築士の合格率の比較
宅建は誰でも受験する事ができます。
受験資格がいらないので、毎年20万以上の人が受験する人気の資格です。
下記が平成29年度の宅建の合格率です。
(参照:不動産実務TIPSより)
平成29年度の受験者数は前年より5.5%増加した209,354人、
合格率は15.6%でした。
続いて下記の二級建築士の合格率を見てみましょう。
(参照:「建築技術教育普及センター」より
学科と製図の2つのそれぞれの合格率と、2つを合わせた総合の合格率と3種類の合格率が出ています。
誰でも受験資格のある宅建士と違い、二級建築士の受験資格は、建築学科を卒業した人、または建築の実務経験者に限られています。
よって受験者数は宅建の受験者より大幅に少ないです。
平成29年度の総合受験者数は約23,000人、宅建受験者の約10分の1です。
しかし、二級建築士の合格率は24.3%
宅建の15.6%に比べれば、二級建築士の方が合格率は高いです。
やはり、宅建士の方が建築士よりも、合格は狭き門と判断できるのでしょうか?
次は、それぞれの合格者の出身業界で比較してみましょう。
宅建と二級建築士の合格者の出身業界の比較
宅建であれば、合格者の出身業界は、不動産業の人は34.4%だけです。
それ以外の約3分の2は他業種(学生も含む)からの合格者です。
平成29年度「合格者の概要:職業別構成比」1位:不動産業 34.4%2位:他業種 23.1%
3位:学生 11.5%
4位:金融関係 10.0%
5位:建設関係 9.6%
6位:その他 7.5%
7位:主婦 3.9%
参照:「平成 29 年度宅地建物取引士資格試験実施結果の概要」より
一方、二級建築士の合格者は建築業界に所属している人が、圧倒的に多いです。
下記は、平成29年「学科の試験」合格者(全国)7,197人の主な属性です。
<職域別>
1位:建設会社・工務店・大工 38.7%
2位:学生・研究生 18.9%
3位:その他、官公庁等、不動産業 等 17.2%
4位:プレハブ住宅会社 13.0%
5位:建築士事務所 12.2%
(参照:建築技術教育普及センターより)
「その他」の17.2%や「学生・研究生」18.9%(建築大学など)以外は、建築業界で実際に働いている人ばかりです。
二級建築士は、受験資格に建築業の実務経験や学歴が必要とされます。
<職業内容別>
1位 建築設計 26.6%
2位 その他、営業、積算・見積 等 23.1%
3位 施工現場管理 22.9%
4位 学生・研究生 18.7%
5位 技能労務(大工等)4.8%
6位 工事監理 3.9%
(参照:建築技術教育普及センターより)
以上のデータを見ていると二級建築士の合格率24.3%が宅建の合格率15.6%に比べて高いという理由だけで、二級の試験が簡単だとは言えません。
二級建築士は宅建と違い受験者層のレベルが最初から絞られています。
一定レベルの人しか受験しない分、レベルは高く、受験者同士の競争が激しいと考えられます。
宅建と二級建築士のどちらが難易度が高いか?
一般的には二級建築士の方が宅建よりも難易度は高いと言う人は多いです。
その理由は
・受験者資格を満たす条件が宅建よりも難しい。
・学科だけでなく製図の実技試験がある。
実際に二級建築士の学科は独学で合格し、現在は宅建を勉強中の私の感想は、2つの資格試験の難易度は単純に比較できません。
二級建築士の製図試験は、学科ができる人が合格するとは限りません。
図面を手書きで描く製図力を習得する必要があります。
2度も違うタイプの試験(学科と実技)があるのは、非常に体力を使います。
また4科目の「計画」「法規」「構造」「施工」は足切りがあるので、バランス良く勉強する必要があります。
一方、宅建は不動産業界で働いた経験が無い人間には、馴染みがない法令関係の難しい言葉が多く出てきます。
幅広い知識が求められ、知らない言葉の理解に時間がかかります。
また、「権利関係」「宅建業法」「法令上の制限」「税金その他」の4科目の出題範囲は広く、暗記する量が多いです。
何よりも二級建築士の試験は、得点源になる「法規」の科目で、法例集の持ち込みが可能です。
ほとんどの受験生は、これで点が稼げます。
一級建築士の場合は、同じ法規でも難しいので、かなり試験対策をしないと点が取れませんが、二級の場合は難易度は、それほど高くありません。
「学科」だけで限って言えば、宅建士の試験の方が難しいです。
よく二級建築士に合格したので、油断して勉強せずに宅建士を受ける人もいますが、試験対策をしていないと、まず不合格になります。
また、どちらが難しいか?は、現在の自分の仕事次第でもあります。
建築業界の実務経験者(また建築学校卒)であれば、二級建築士の学科試験の方が学習しやすいです。
逆に不動産業に関わった経験がある人ならば、宅建の方が断然易しく感じると思います。
二級建築士も宅建士も効率良く勉強した人が、合格しやすいです。
製図はしんどい人は、誰でも受けられる宅建士から受けるのも1つの方法です。
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ただ、どの資格もそうですが、取得するだけで直ぐに転職成功に結びつく様な魔法の杖ではありません。
取得の目的と自分のキャリアに合う選択をする事も重要です。
資格取得は自分の業務とやりたい事を考えて決める
二級建築士の受験資格を満たしているのであれば、二級建築士から取得した方が良いと言う人は多いです。
理由は、二級建築士の受験資格を満たす人は、建築学校か建築の実務経験を既に積んでいる人だからです。
よって既に予備知識がある建築の資格から取得する方が、自分の仕事にも直結するので勉強が進みやすいです。
逆に不動産業に関連する仕事をしている人であれば、宅建の取得から始めるのがオススメです。
実務経験者であれば、宅建業法などの宅建士の実務に関する科目は理解しやすいです。
また、宅建の実務経験者は講習会を受講すれば、宅建試験の50問中、5問が免除される優遇措置もあります。
【結論】
・自分の業務に関連した資格を取得する方が、今の仕事に直ぐに役立ちます。
・転職目的で資格を取得したい人は、自分が希望する業界や職種によって判断します。
いずれにしても自分が興味があり、将来に繋がる資格かどうか?を考えることも大切です。
自分が取得しやすい、やりたい仕事に直結する資格から優先して取得すると、モチベーションも上がり、合格しやすいです。
転職の有利度は会社次第?求人需要は宅建士がやや多く、人手不足は建築士
転職の有利度も業界や業務内容によっても変わります。
どちらも業務に必要不可欠な国家資格なので、有利度は断定できません。
しかし宅建の取引業務を行う会社は、事務所に業務に従事する者の5名に1名以上の宅建士を置く義務があります。
その必要性から宅建が求人の応募要件の必須になる会社が多いです。
一般的に全体の求人数は宅建の方が二級建築士よりも多いです。
また二級建築士の場合は、その上の資格に一級建築士があります。
よって二級建築士は取得していて当たり前の資格と建築業界では見られがちです。
一級建築士まで取得すれば断然、転職には有利ですが、二級建築士だけでは、年代が上になれば有利にならない場合もあります。
しかし、これも会社の業務内容次第で変わります。
宅建の取引業務を行わない会社の場合は、二級建築士が宅建士よりも優先的に採用される事も多いです。
建築士は受験資格を満たす人も限られているので、全体の取得者数は宅建よりも少ないです。
最近は建築業界の人手不足もあり二級建築士も重宝されます。
自分のキャリア構築に役立つならば、2年間で両方を取得する方が良いです。
詳しくは「人気の「二級建築士と宅建士のダブル取得」転職活動での優位性を検証!」で書いています。
まとめ:宅建と二級建築士はどちらを先に取得すべきか
転職やスキルアップの為に宅建と二級建築士がどちらの取得を先にすべきか?
結論は下記になります。
・転職活動で有利になるので、最終的に両方の資格を取得することを目標にする
・まずは短期的に仕事で役立つ資格を取得する
私がお薦めなのは、もし受験資格があるならば二級建築士の合格を先に目標にする事です。
二級建築士から宅建を受験するのは有利です。
建築士の学科試験の「法規」は宅建試験の出題範囲と一部重なります。
私の周囲でも二級建築士に合格した人は、短期間の勉強で宅建にも合格できる場合が多いです。
ダブルライセンスで良いキャリアップができる事をお祈りしています。
★参考記事:「宅建(タッケン)取得が二級建築士におすすめな理由とは?共通の出題部分をまとめてみた!」
この記事は、建築士の目線から宅建の学習方法も紹介していますので、建築士以外の人も読んでみて下さいね。
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