一級建築士の転職で年収1,000万以上の会社はどこ?これから注目の業界とは?

転職と仕事

一級建築士に「目標の年収額は?」と本音を聞くと、可能か?は別にして「年収1,000万円!」と答える人が多いです。

 

物作りの仕事は、好きな事をしているから年収は高くなくても良いという価値観があります。実は私も以前は年収を意識していない時期がありました。

しかし、だんだん経験が長くなるにつれて、多くの人は激務なのにそれに見合う報酬が得られない人生は辛いと気がつきます。

 

また激務のまま年収が高くならないのは、将来の不安も出てきます。

しかし、仮に激務であったとしても、もし年収面で報われていれば、好きな仕事なので構わない、と考えている人も多いです。

体力のある働ける時に働いて貯蓄ができれば、将来はペースダウンできるからです。

(実際は年収が増えても、家のローンや子供の教育費などで貯蓄が進まない人もいるかもしれませんが)

 

また年収は自分の能力を示すので、高い年収を目指す事が仕事のモチベーションを上げる事にも繋がります。

年収1,000万は高給取りになれる一つのボーダーラインの様です。

では一級建築士が年収1,000万円を超えられるのはどんな企業でしょうか?

今回は、建設業の平均年収の事情や注目の業界についての紹介です。

また2020年以降には日本全体では物件の着工件数が減り建設業界は不況となると言われています。

どんな企業に転職すると将来性があるか?も書いています。

今の年収に物足りない一級建築士のプロは必読です!

建設業界で一級建築士の年収が高い企業と業界の事情

そもそも日本企業では、年収1,000万円を超える会社員自体が少ないです。

1年間に勤務した給与所得者4,869万人のうち年収1,000万を超える割合は4.2%と全体の5%にも満たない少数派です。

(参照:2016年の民間給与実態統計調査より)

一級建築士でも1,000万円の年収以上を貰っている人は限られてきます。

一級建築士の建設業界全体の平均年収は643万円

建築業界全体の一級建築士の平均年収は下記です。

建築業界全体の一級建築士の平均年収:

年収のボリュームゾーンは500万〜900万

平均年収:約643万(推定)

(参考記事:「一級建築士になれば平均150万年収アップする」より)

企業の求人数が多い人気資格と言われていても、意外と低いと思われる方もいるかもしれません。

そして同じ一級建築士でも平均年収のボリュームゾーンは500万〜900万円と格差があります

では他の職業と比べればどうでしょうか?

下記は最新版の「職業別年収ランキング」です。↓

(参照:東洋経済オンラインより 2018年)

一級建築士の平均年収は「職業別のランキング」では14位。

平均年収が1,000万以上は1位の医師や2位の航空操縦士(飛行機のパイロット)などの専門職です。

それら上位の職種に比べれば約640万円は専門職としては高くはないです。

しかし年収ランキング50位中14位は他の職業と比較すると悪くない水準です。

建築業界では特に一級建築士取得が年収アップにつながります。

参考記事:「150万年収をアップさせたい建築士は一級建築士の取得がおすすめ。年収アップの秘密を徹底解説!」

では、建設業界でみれば、どの会社の平均年収が高いのでしょうか?

建設業上場企業の平均年収:上位25位以内は800万円以上

最近の一級建築士のみを対象にした企業別の年収ランキングのデータは見つけられませんでした。

代わりに一級建築士の職種を問わず全従業員を対象とする年収
「上場している建設会社の年収ランキング」を見つけたので紹介します。

下記は少し古い2016年のデータですが、参考にはなります。

(参照:年収ガイド「有価証券報告書より抽出した2016年上場企業の業種別(建設業)年収ランキング」より)

これから分かる特徴は

1位から25位の上位の年収が高い企業は、東京都を中心に首都圏に集中

・大阪府であれば大和ハウス、ダイダンなど一部が健闘

・地方は新潟県の福田組の3位以外はない

上場企業の中でも1位から25位は、建設業界の平均年収643万を大幅に超えて800万円以上と特に高年収

2017年に上場企業で最も業種全体の平均年収が高い建設業!

上位にランクインした企業だけでなく、最近は好景気のお陰か、建設業界も全体的に業績が良いです。

現在、建設業で上場している会社は178件(業種別銘柄一覧:建設業より)ですが、2017年は建設業界の上場企業で限れば、平均年収は711万円以上です

「業種別 建設業が唯一の700万円台、初めて全業種トップ」

業種別では、建設業(711万8,000円)が唯一700万円を超えた。10業種のうち、水産・農林・鉱業、金融・保険業、不動産業の3業種を除く7業種で増加した。

業種別伸び率は2011年3月の東日本大震災後の原発稼働停止で落ち込んだ電気・ガス業(前年比3.8%増)が急回復、建設投資で潤う建設業(同3.1%増)の2業種の伸びが突出した。

(参照:東京商工リサーチ 2017年3月期決算「上場企業2,172社の平均年間給与」調査より)

2020年の東京オリンピック前の建設需要で業績が伸びたので全体的に年収がアップした様です

しかし、上場していない企業の社員や設計事務所の所員の年収は、周囲から大幅にアップしているという話はあまり聞かないです。

建設業界の多くの会社が景気に応じて直ぐに年収を上げていないのは、将来売上が下がった時のリスクも考慮されているからです。

一度上げてしまった人件費は余程の事がない限り下げる事は難しいです。

人件費を手堅く一定水準に保っているので、経営が続いている場合もあります。

一級建築士の平均年収は会社の規模で左右される

規模の大きな会社へ転職すれば年収は比較的上がりやすいです。

その事を示すデータが他にもあります。

下記は「一級建築士が勤めている会社の規模別の年収データ」です。

(参照:「年収ガイド 2017年 一級建築士 の規模別年収データ」より)

一般的に企業の規模が大きい程、給料は高い傾向にあります。

10人から99人は中小企業の工事業や工務店も多く含まれます。

設計事務所であれば10人以下の会社も多いのですが、こちらも労働時間の長さの割には年収は安い場合が多いです。

大手の建設業を中心とした上場企業は、顧客から受注する工事金額が大きいので、利益率が高いので年収も高くなります。

中小企業になればなる程、利益は大手に比べれば、あまり沢山は残らないので社員の年収も上がりにくいです。

女性の一級建築士の平均年収は男性よりも低い

また、男性と女性の年収の格差もあります。

1,000人以上の大手企業であれば年収は200万以上の差がついています。

これだけ差がつくのは1,000人以上の会社に勤務している女性の平均年齢が男性よりも若い事も理由の1つに考えられます。

若いとそれだけ勤務年数も少ないので給料も低くはなります。

上記のデータで集計されている平均年齢層が女性の場合は男性の52.1歳に比べて、女性は37.6歳と10歳以上若いです。

一概にデータだけでは判断できませんが、大手企業では、年収が上がるまで長く勤務している女性が男性よりも少ない事も示していると思います。

そして大手企業だけではなく業界全体で集計した数字でも男女差は100万円近くあります。

下記は2017年の「一級建築士の男女差の比率と平均年収」です

(参照:年収ガイドより)

女性の一級建築士の数も全体の11.7%とまだ男性よりは少ないです。

建設業界は、以前は男性の職場というイメージが強かったのですが、最近では男性以上に働く人も増えてきました。

最近では、男性に負けない位、現場に出て活躍する女性も増えたので、今後は男性と女性の年収格差はもっと縮まると期待しています。

一級建築士の年収アップは役職で上がる

どこの業界も同じですが、単なる技術職よりもマネージメントする側になる立場の方が年収アップは期待できます。

下記は「役職別の一級建築士の年収例」です

※厚生労働省の賃金統計基本調査の比率から独自で予測算出した結果になっております。

(参照:平均年収.jpより)

会社の規模は明記されていませんが、おそらく大手企業の年収例かと思います。

年代が上がるにつれて部下をマネージメントできる人の方が重宝もされます。

建設業界で、1番1,000万以上の年収アップにつながりやすいのは、

ゼネコンなどの大手企業に就職し、マネージメント能力なども身につけ役職につく事の様です。

しかし中小企業であれば、元の年収自体が低いので、年収1,000万円は難しいかもしれません。

一級建築士の年収アップが見込める業界とは?

次は建設業界以外で、一級建築士の年収アップが期待できる会社はどんな会社でしょうか?

まず建築業界に限らず、幅広く日本全国の会社の平均年収をみてみましょう。

日本で社員の平均年収の高い企業や業界とは?

下記のデータは、最新!平均年収が高い会社ランキング」です。

(参照:東洋経済オンライン 2018年より)

こうして見ていると上位25位内に建設業界は入っていません。

上記の記事「建設業界の上場企業で限れば、平均年収は711万円!初めて全業種トップ」がありました。

上場企業の中では、最も高い水準を出していたので意外な気もします。

下位までランキングを見ていると41位で「日揮」、46位から「JFEエンジニアリング」がやっと登場しました

(参照:東洋経済オンライン 2018年より)

「総」と書いてあるのは総合職なので、一級建築士の様な技術系の専門職も含まれているかどうか?はわかりません。

総合職とは、一般的に会社の幹部候補生に期待されている職種です。一級建築士

を取得した技術職の人間も会社によっては総合職で役職は上がっていきます。

これらのデータから判断できるのは、

建設業界は中間層のボシュームゾーン平均年収500万〜900万の層が

多く1,000万円以上の年収の人が少ない結果が現れているのもしれません。

そして上位にランクインしている会社は総合職の平均年収で出している会社が多いです。

総合職とそれ以外の一般職との年収格差が大きいので、全体の職種でみれば建築業界よりも年収が低いのかもしれません。

大手の不動産業は安定して平均年収が高い

上記の最新!平均年収が高い会社ランキング」で建設業以外に、

一級建築士の建築系の採用があり、最も一級建築士の転職先にもなり得る業界はどこでしょうか?

目立つのが不動産業界の平均年収1,000万円以上の高さです。

3位 ヒューリック    総 1418万

13位 住友不動産    総 1205万

14位 三菱地所       1190万

15位 野村不動産    総 1188万

17位 三井不動産    1141万

19位 東京建物       総  1099万

37位 森ビル          総   1020万

無論、これらのデータは「総」が前にあるならば総合職だけ、何もなければ一般職種なども対象にしています。

建築系の部署の一級建築士の年収だけを抽出しているのではありません。
しかし会社全体の給与水準が高いので、年収アップが期待できる事は確かです。

不動産業の業績がよいのは、現在の好景気の需要を反映している部分もありますが、これは建設業も同じです。

建設業と不動産業で大きく違う部分は、利益が上げられる仕組み、会社の収益構造が不動産業の方が安定している事です。

不動産賃貸業(物件の月々の家賃収入)、ディベロッパーとして不動産取引業の売買・賃貸手数料や不動産管理業などから利益を上げています。

不動産業は、利益が月々に蓄積されるビジネスも手掛けているので安定して収益も上がりやすいです。

安定している事情から、大手の不動産業界の平均年収は高くなっています。

年収1,000万を超える人も多いと判断できます。

一級建築士の年収アップは会社の利益構造を見る事が大事

では、転職したい1級建築士は、どの業界の会社を選べば1番、年収アップにつながるのでしょうか?

これはズバリ、儲かっている業界です。

業界や会社の規模だけで判断するのでなく、高い利益率がある会社への転職が給料アップに繋がります。

先見の明がある会社の経営者は、できるだけ雇っている社員の雇用条件を他社よりも良くして優秀な社員には長く勤めて貰いたいです。

ブラック企業の様に利益が上がっていても社員に還元したくない馬鹿な経営者の会社も中にはあります。

しかし、まともな感覚の社長であれば、ほとんどが社員へ給料も賞与を出せるなら出したいです。

でも現実は儲かっていないと、まずそれは出来ません。

下請けで末端の立場の会社であれば、仕事をしても利益率が悪いです。ギリギリの利益しか出ない、そんな中小企業は余力がありません。

社員の条件を良くしたくても、会社を存続させる為には、給与や条件面で社員に我慢してもらうしかないのです。

将来性も継続できる利益率の高い儲ける仕組みが整った会社でないと、高い給料も社員には出せません。

もし、収益力の低い儲ける力が無い会社へ転職してしまうと、将来は年収も下がる可能性もあります。

若いうちはスキルを身につける事が1番大切なので、年収だけにこだわる必要はないかもしれません。

しかし、年齢を重ね家族を持てば、豊かな生活をおくる為には生涯年収も意識する必要が出てきます。

拝金主義で転職を決めるべきではないかもしれませんが、利益構造を見るのはとても大切です。

一級建築士の取得の為にかけた投資分(授業料と時間)を回収できる転職先でないと、資格を取得した費用対効果も悪くなります。

参考記事:「一級建築士が転職で150万年収アップできる儲かる企業の探し方、ブラック企業の見抜き方を公開!」

一級建築士の年収アップは資格に価値をみる会社を選ぶ

更に一級建築士の年収アップの転職には、その企業がどれだけ一級建築士の資格者を優遇するかによっても左右されます。

一級建築士の資格に価値を感じてくれる会社へ転職すれば、そうでない会社に居た時よりも年収は確実に上がりやすいです。

一級建築士の資格者を必要とする異業種の会社例

一般的に一級建築士が多数在籍する設計業務を主力にしている会社よりも、

むしろ設計業務を行わない会社の方が、一級建築士の資格、そのものを必須条件に求める場合が多いです。

この様な会社は、建築系の技術者が少ない場合が多いです。

その中で一級建築士を保有する人材は技術があるという一定の保証になるので、建築士が少ない会社ほど、一級建築士を好んで採用する傾向が強いです。

また施工業の資格「建設業の許可」の認可などにも一級建築士が必要です。

・一級建築士事務所開設

・総工事費500万以上の施工業を行う為に必要な建設業者の開設

 

近年、大手企業が取引相手の場合は、建築業とは直接関係ない業種でも「一級建築士事務所」、「建設業の認可」の登録が必要です。

認可を受けた登録の指定会社以外は、取引が出来ない事が多いです。

よって実際に建築工事を直接行う会社以外でも一級建築士にしかなれない管理建築士を正社員として雇い「建設業の許可」を取得する必要があります。

 

その様な会社の管理建築士になれば、更に一級建築士の資格自体に価値が置かれるので、資格者は良い待遇で転職できる場合が多いです。

逆に一級建築士が多数在籍する建設業のゼネコンなどの会社では、一級建築士は取得して当たり前の資格です。

必要性は、それ程高くない場合もあります。

外資系の求人は一級建築士の転職でも高年収

東京を中心とした首都圏に多いのですが、最近では外資系の不動産投資会社の募集も積極的に行われています。

募集求人で多いのは下記の職種です。

FM:ファシリティマネジメント(Facility management)

CM:コンストラクションマネジメント(construction management)

参考記事:「一級建築士の仕事とは?転職の成功は意外な業種と職種にあり」

外資系は日本企業に比べて退職金などの保障がない分だけ、社員の基本給が自体が高い場合が多いです。

しかし、給料の高い会社は当然、ハイリターン・ハイリスクで求められる仕事のレベルも高いです。

日本に進出している外資系企業の中には、日本企業の様な終身雇用制度の概念のない会社もあります。

不動産投資ブームが去り不景気になれば、リストラの対象になるかもしれません。

2008年のリーマンショックの時は、不動産投資会社でも業績が悪くなり、年収が高い人材が多く解雇されました。

ただ、生き残った不動産投資はバブルの反省から自己資本比率を上げるなど財政面を強化している会社も多いです。

2020年以降も以前程は景気の波に大きな影響は受けないとも言われています。

 

年収をアップさせたい一級建築士は、下記の記事も読んでみて下さい。

私が実際に転職活動で使って、成果が出たハイクラスの転職に強い会社を紹介しています。

参照記事「一級建築士ハイクラス転職で成功できた!TOP3の 転職支援サイト」

コメント

タイトルとURLをコピーしました