建築業界でキャリアを積んできた人ならば、国家資格である一級建築士の資格取得を意識する人も多いのではないでしょうか?
しかし資格の取得にはお金も時間もかかります。
最近では受験費用を補助する会社も増えていますが、金銭的な面だけでなく、合格までに多くの時間を投資しないといけないのは事実です。
自分の時間の多くを投資していくので、資格取得後は年収アップをするなり、それなりに報われるかどうかは気になります。
一級建築士などの資格はよく「足の裏の米粒」と揶揄されます。
この意味は「取らないと気になるけど、それだけでは食べていけない」
1級建築士の資格は業務には必要だけど、あまり一級建築士のメリットを享受していないと言う人もいます。
確かに一級建築士を取得しても、今の会社では年収アップにはならない人も中にはいるかもしれません。
また、実務経験が伴っていないと実力が無い奴と見られてしまうのも事実です。
では本当に一級建築士を取得しても意味が無いのでしょうか?
一級建築士である私の結論を言えば、
・現在の職場では年収アップは見込めなくても、転職市場へ出れば価値が高く評価されて年収アップの転職も可能
今回は、なぜ一級建築士は他の建築資格に比べて年収アップの転職に有利なのか?
これから一級建築士の資格取得を目指そうかどうか?迷っておられる人へ、それぞれの建築士の求人のニーズ、年収、仕事内容などについて書いていきます。
Contents
一級建築士の資格者を求める企業は多く、取得者自身の満足度も高い。
「一級建築士」は転職市場で需要があるかどうか?が1番気になります。
他の建築資格取得者「二級建築士」や「木造建築士」と比較して、実際の転職の需要や年収の状況をみていきます。
下記の資料を見てください。
求人件数からみた企業が求める資格者のランキングです。
(資料:リクルートエージェントより)
これは、実際に企業からリクルートに寄せられた求人数から割出した「企業が求める資格ランキングTOP10」です。
一級建築士は人気ランキングの2位になっています。
2級建築士は5位です。
この事からだけも1級建築士や2級建築士は需要が多い資格であるとわかります。
そして実際に一級建築士を取得した後の満足感はどうでしょうか?
実は、一級建築士の資格は求人広告を出す企業だけに人気があるのではなく、業界で実際に働く一級建築士自身からも業務で役立つと感じられて満足度が高いです。
建築・住宅分野の実務者が「最も役立つ」と答えた資格上位10種。
1位は243の回答があった一級建築士。
土木を含めても最多だ。2位以下は、一級建築施工管理技士29、二級建築士26、宅地建物取引主任者10と続く(資料:ケンプラッツより)
一級建築士の資格取得の満足度は2位以下を引き離してダントツです。
実際に一級建築士を取得した人の声を聞いてみると
・資格を取ると信用度が増した。
・評価されて年収がアップした。
・自分に自信が持てる様になった
など前向きな感想が多いです。
やはり難関の国家資格にはなるので、合格した後に伴う評価への満足感は、全体的に高い様です。
実際に建築・建設業界でキャリアップしていきたいならば、絶対に取得しておくと良い資格と答える実務経験者は多いです。
★ 一級建築士の取得におすすめ>>>【建築士:通信講座】スタディングで合格できるか?一級建築士が徹底分析!
一級建築士になれば平均150万年収アップする
一級建築士の一般的な年収のボリュームゾーンは500万〜900万、
平均年収は644万(推定)です
下記のデータを見てください。
大手企業であれば一級建築士の年収のボリュームゾーンは500~900万円、
中小の設計事務所なら400~600万円前後がボリュームゾーンとなります。
(参照:一級建築士 企業規模別データ)
全体の平均を引き上げているのは、勤務条件の良い大手勤務の社員です。
中小の事務所と比較しますとやはり200~300万円くらいの差は生じてきます。
(参照:「年収ラボ」の記事より)
2級建築士の平均年収が、480万円(推定平均)と言われています。
よって一級建築士者の平均年収は取得していない人に比べて150万ぐらいアップしています。
これはあくまで平均的な数値なので、年収はボリュームゾーンの500万から900万より高い人もいれば、低い人もいます。
下記の資料の様に建築士全体の年収はバラツキがあります。
無論、年収アップに繋がる会社もあれば、給料は変わらない会社もあります。
しかし、その後の昇進にも差が出る場合もあります。
大手の組織事務所であれば中途採用なら、一級建築士を取得するまでは契約社員のままになる場合もあります。
一般的に一級建築士は社員に企業が取得して欲しい資格なので、受験費用に会社の補助が出る。合格後にお祝い金が出るなどのバックアップをしてくれる企業は多いです。
一級建築士合格の祝い金は多い会社では100万という会社も中にはあります。
この様に150万の年収アップの価値があるとも言われている一級建築士
ではどんな仕事をしているのでしょうか?
次は設計士の資格の種類や業務内容をみていきましょう
設計士の種類と仕事内容
設計士の種類
日本では建築士は国家資格で定められた設計士の資格であり、3種類あります。
「一級建築士」、「二級建築士、「木造建築士」
一級建築士と2級建築士、木造建築士は建設できる建物の種類が異なり、国家資格の難易度も変わります。
住宅から公共建築物、大規模な施設まで多種多様な建築設計に関われます。
一方、2級建築士や木造建築士は建築できる建物の規模に制限があります。
2級建築士の業務範囲であれば、高さは13mかつ軒下9m以下、延面積は1000㎡以下(学校、病院などの公共建築物は500㎡を超えると一級建築士のみ)までに制限があります。
木造建築士では、更に延面積は300㎡の建築物に限られます。
この表を参照下さい。
建築士の試験では建築士の業務範囲の問題は、ほぼ毎年出題されるので見慣れている方も多いのではないでしょうか。
2級建築士や木造建築士は、手掛けられる建築物の規模に制限がある事から必然的に小規模建築物の住宅設計が中心になります。
建築士の業務
建築士の業務は大きく分けて3つあります。
・工事監理業務
・手続き業務
・設計業務とは
プランニングの基本設計と詳細な図面である実施設計の2段階で設計します。それぞれに図面は意匠設計、構造設計、設備設計の3種類があります。
建物を造る図面です。建築物部分だけでなく敷地の図面も含まれます
平面図、立面図、断面図、矩計図、展開図、天井伏図、建具表です。
他にも設計概要書、特記仕様書、仕上表、配置図、案内図、求積図も含まれます。
・構造設計とは
建築物の構造躯体の構造計算や設計になります。
最近では一級建築士でも更に構造専門の構造設計一級建築士も高い需要があります。
・設備設計とは設備全般の設計になります。更にこちらも同様に設備を極めた設備設計一級建築士の資格も注目されています。
現場工事が図面通りに滞りなく建てられているかどうか?を建築主(クライアントの施主になる人)の代理で現場を確認し、建築主への報告と施工者(工事をする人)へ必要な指示を行います。
確認申請業務 検査 資格者の印鑑が必要な届出があります。
なぜ一級建築士を取得すると年収が高くなるのか?
稼げる資格というのは、その資格者しかできない業務が法律的にさだめられているかどうか?があります。
例えば税理士、医師免許などはその免許者しか出来ない業務があるので希少価値が高いのです。
建物の設計や業務は資格者で無いとできないと国家資格で定められています。
よって全ての建築物の設計や監理業務ができる事が許されている一級建築士の年収も無資格者に比べて高くなるのです。
また業務面だけでなく、それ以上の資格が無いという事もあります。
高い専門性の裏付けの証明という点からも信頼がおける。
これらも年収アップになる理由です。
一級建築士は将来も需要があり
年収がアップするとしても将来性は?
国内の需要が少なくなるので将来は建築士は必要なくなってしまう。
と心配されている方もおられるかもしれません。
しかし、それは違います。
平成29年4月1日で一級建築士の登録者は36万6,755名
(公益社団法人 日本建築士会連合会より)
一級建築士は今、高齢化の問題に直面しています。
資格者の平均年齢が56.2歳と高齢化が問題になっています。
特に20代の取得者は少なく、将来は危機的な状態まで不足すると言われています。
下記の資料を見てください。
(引用:健美家より)
そして一級建築士の受験者も減っています。
不足感をより顕著にあらわす表です。
合格率も2002年、2006年の厳しい時期よりも近年は上がり気味です。
(引用:一級建築士の受験者数が2009年以降急激に減少)
これらのデータが示す様に、将来、一級建築士は不足するので、建築士の需要は結局はなくならない。というのが多くの見解です。
むしろ、将来の日本の建築業界を担う人材が不足する懸念から、若手の一級建築士の育成が急がれています。
現在の60代の一級建築士が退職した後、建築士がいなくなる事に対して業界全体が強い危機感を持っています。
しかし、受験者が少ないからと合格レベルを大幅に下げ、合格者を増やす事はできません。
建築・建設業界の安全性の面から国も安易に許容できないからです。
質の低下は、2005年の建築物の耐震偽装で、世間を騒がせた姉歯事件の様な事件を引き起こす原因にもなりかねないです。
今まで何か事件が起こる度に、その現場に関わった一級建築士などの資格者のモラルや技術力は世間から厳しく追及されて問題視されてきました。
過去の経緯上、資格の提供元である国も合格率を上げる事に対しては、慎重にならざるおえない事情があります。
今後、一級建築士の取得者が自然減少していく状況で、資格の価値は急に暴落する事はないので、年収も一定額はキープできるかと思います。
よって20代から40代の若手にとっては、特に一級建築士はこれから日本で建築需要が少なくっても将来性がある注目の資格でもあるのではないでしょうか。
今、一級建築士を取得を目指されている方は様々な理由があると思います。
・転職を有利にしたい
・年収アップしたい
・職場で強制されるので一級建築士を取得する必要がある
一級建築士の資格取得の勉強には多くの時間を投資しますが、転職市場でび一級建築士の費用対効果を考えると将来のために損はしません。
迷っておられる人も、将来の投資として一度、検討してみてはいかがでしょうか。
これから一級建築士を目指される方が合格できることをお祈りしています。
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