もし社会に出て数年経った20代後半から、建築設計の仕事をしたくなったら?
全くの異業種から建築士へのキャリアチェンジは可能でしょうか?
私は20代後半の未経験者の女性から建築業界へ入ることを相談された事があります。
その時は自分もかつては建築の学校を卒業していない未経験者の立場で苦労しました。
その中途半端な苦しい経験があるので、アドバイスの仕方は悩みます。
その理由は、20代後半の未経験者の転職活動の難しさだけではありません。
他の業種や職種と比べ、建築技術を習得する経験が重要になる建築士を遅いスタートで目指すことは、相当覚悟がいります。
なぜなら技術職は、一人前に仕事ができるまで時間がかかるからです。
建築の物造りは、形になる面白さがあります。
大変でも物件が完成した時の喜びや遣り甲斐は大きな魅力があります。
この魅力に取り付かれて年収が安くても働く人は多いです
ただ人によって年収格差が激しい重労働の厳しい世界です。
キャリアチェンジの前に再度、自分の将来ビジョンも考える必要があります。
・建築士になりたい目的は?
・将来は独立したいのか?
そしてキャリア構築ができる仕事が身につく会社へ転職できる事が最も重要です。
条件の悪い30歳間近の未経験者の場合は、ブラック会社に近い小さな会社にしか転職できない危険性があります。
しかし、私の知り合いには30代から建築士を目指し、設計事務所へ未経験から熱意で就職した人もいます。
その人は最後は建築事務所を独立し、その後は建築士として成功し活躍しています。
最初から無理だと全て諦めてしまう事もありません。
今回はそんな20代後半の異業種から全くの未経験で建築士への転身を迷っている人への記事です。
多くの人が失敗するパターンと成功した人に共通する3つの行動パターンもお伝えします。
Contents
建築の学校を卒業しない未経験者が二級建築士を取得する早道とは
あなたが、もし25歳までの年齢ならば、建築業界の未経験者であっても前職の経歴次第では、優良企業へ転職できる可能性はあります。
実務経験が大事な世界なので、優先順位として先ずは、
できるだけ良い仕事を受注している会社へ転職し建築士の実務経験を積む。
そして、もし可能ならば、
働きながら夜間の建築系の専門学校へ2年間通って二級建築士の受験資格を得る。
すると学校を卒業した後で直ぐに二級建築士を受験できます。
もし実務経験だけで二級建築士の受験資格を得ようとすると7年間が必要です。
仮に20代半ばで建築業界へ転職できたとしても二級建築士の受験資格を得られる頃は30代半ば近くなります。
はっきり言って二級建築士を30代で取得するのは遅いです。将来転職でキャリアアップをするにしても20代で取得してしまいたい資格です。
参考記事:「二級建築士は20代で取得すべき!転職で有利なその理由とは?」
実務経験を積む事が1番重要です。
遅いスタートの人は、できるだけ資格を早く取得する方が有利です。
なぜならば資格が実力を証明する一つの方法だからです。
しかし、働きながら専門学校へ通うのは学費もかかります。
また会社には夜間の授業に出席できる様に、残業にも配慮して貰うなど理解を求める事が必要で、忙しい職場では特に両立は大変な事です。
学校へ行く事は下記のことをよく考えてから選択して下さい。
将来のキャリア構築をどうしたいのか?
二級建築士取得だけでない!学歴がない人が学校へ行くメリット
建築系の夜間の学校へ通う利点は、卒業すれば二級建築士の受験資格が得られる事だけではありません。
大学は文学部で異業種から転職して建築士になった私の経験からも、学校へ通うメリットは他にもあります。
建築系の学校を卒業していない人は、学校へ通い基礎を一から勉強する方が将来の為になります。
長い目でみると仕事は基礎力がある方が伸びます。
ベテランの建築士の中には、学校へ行かなくても仕事の実務だけで図面の描き方は覚えられるという意見の人もいます。
確かに安藤忠雄の様な元ボクサーから独学で世界的な建築家になった人もいます。
しかし、あまり注目されない事ですが、彼も猛烈に学校で得る知識を通信教育などで勉強していたそうです。
(実は独学ではなく、専門学校に裏では通っていたという噂もあります)
学校は実務に直結しない勉強もありますが、幅広く建築の基礎力は養えます。
よく考えてみて下さい。
あなたと同じ年代のライバル達は既に10代から建築の勉強をし、学校卒業と同時に建築業界で経験を積んでいるのです。
設計実務のキャリアで言えば社会人の未経験者は、既に数年分の遅れを取っているのです。
そのハンディを少しでも縮める為には、ライバル達と同じ様に会社から与えられた仕事をこなすだけでは追いつけません。
仕事とは別に学校へ行き、建築学校を卒業した人に負けない位の基礎力を養い、早く二級建築士の資格を取得してしまう事です。
私の時代は、二級建築士合格の後は4年間の実務経験で一級建築士も受験できました。
最近は、実務経験がなくても一級建築士にも受験できるように制度が変わりました。
独学で猛烈に建築を勉強するのは、意志が強くないと難しいです。
そして、高い学費を払って学校へ行く社会人学生は、必死で元を取ろうと勉強します。
異業種から建築士の転職を目指す社会人の失敗とは?
建築士を目指す人が働きながら夜間に建築学校へ通う事は、私も夜間の専門学校へ通った経験から賛成します。
しかし、絶対にやらない方がよい事もあります。
ブランクは転職に不利!会社を辞めて無職は卒業しても職がない
よく20代半ばで建築士の様な物を作る職業に変わりたいと、現職の会社を完全に辞めて学校へ通いたいと希望する人がいます。
しかし、これは最もやってはいけない将来も損する道です。
将来、最も無職になるかもしれない状態になるのは下記の場合です。
会社を完全に辞めてしまって、学校へ入学して学生に戻る。
そして何年もキャリアにならないアルバイトしか経験せず、勉強にしか力を入れていない
実際に私の周囲にも学生に戻り勉強に集中する人は何人も居ましたが、
その末路は殆どがよい結果にならないです。
社会人がMBA取得のために会社を辞めて海外の大学へ行きキャリアップしている事例が沢山あるではないか?と思われる方もいるかもしれません。
しかし、建築業に限ってみれば、名の知れた一流校を卒業し年齢も25歳以下でない限りは、まず数年間のブランクは就職には全く有利にはなりません。
残念ながら日本の殆どの建築系の学校は、昼間に集中して通ったとしても転職に飛び抜けて有利になる環境では無いです。
更に学校を卒業する時期が不景気に重なると、その末路は全くどこにも職が決まらない無職のフリーターに転落する危険性もあります。
一般的に社会人は一年以上の長い仕事のブランクができてしまうと、転職するのが大変になります。
昼間の建築学校へ通うと損で孤立しがちな社会人の学生
中には学校などの紹介で昼間は学生をやりながら夜は設計事務所のアルバイトを探し経験を積む方法もあります。
しかし、これも実務経験になる様な良いアルバイト先があるかどうか?は実際に入学してみるまでわかりません。
仮にアルバイト先があっても時間給は安いし、バイト雇用の人間がゼロから丁寧に育てて貰う事は忙しい職場では、あまり期待できません。
また社員の様に育成目的で仕事を教えてくれる設計事務所は、インターンやアルバイトから本採用をしたい目的があります。
優秀な学生を先に確保してしまうルートを取っています。
その様な場合は、一般的に若い学生の方が優先的に採用される事が多いです。
そして何年も社会で働いた人が、昼間の学校へ入学し直すと、まず18歳の年頃の若い学生との意識のギャップを強く感じます。
余程、レベルの高い人が集まっている学校へ行かない限りは、そんな学生達との交流や学校の環境も物足りなく、通学する事に目的を感じなくなってくる場合が多いです。
夜間の学校であれば、社会人も多く同じ目的を持ち勉学に励んでいる人も多いので、意識の差を感じる事は少ないとは思います。
夜間通学でキャリアチェンジ転職の失敗リスクを減らす
社会人にとって学校は働きながら通う場所である方が、もし失敗してもダメージは最小限で済みます。
建築士の仕事をやってみたいが、リスクを冒して建築業界へ転職する事をためらう社会人は特にそうです。
今の職場を退職せずに、先に夜間の学校に通って様子をみると失敗がありません。
一年程、学校に通ってみれば自分の適性もわかります。また夜間学校へ通う事で講師の先生方と知り合えるので情報も入ります。
結果的に建築士が自分の思い描いていた仕事と違う、キャリアチェンジを社会人でする価値は無いと思うかもしれません。
その場合は建築士になる事を途中で止めるのも有りです。
お金は勿体ないかもしれませんが、転職で失敗するリスクを考えれば小さなものです。
また自分のやりたい事を一度は経験してみる事も自分自身に納得ができます。後で挑戦しなかった事を後悔しなくても済みます。
もし建築士が合わないと思えば、今の自分が持っている経験を活かし発展させる次の道を考えれば良いだけです。
転職サイトも上手に利用すれば、自分のキャリアを見つめ直すのに良い機会になります。
(参考記事:「20代におすすめの転職サイトを紹介!転職活動で失敗しないコツとは?!」)
30歳で設計事務所に転職!独立後に売れっ子になった建築士の成功例
一般的に20代後半から設計士を一から目指すのは遅いと言われます。
しかし、例外的に成功した人も実際には居ます。
私も最初、その成功している設計士が30代から設計士を目指したという経歴を聞いた時は驚きました。
30歳未経験で設計事務所へ!独立して成功した建築士の実話
彼の場合は建築業界に入る前は飲食店関係の全く別の仕事をしていました。
それがある時、有名建築家が設計した空間に衝撃を受けました。
それから自分も同じ様に物を造る仕事がしたいと強く思い、設計士をゼロから志しました。
しかし当然、最初に周囲に相談した時は、全員から無理だと反対されたそうです。
まず修業先の設計事務所を探し入社するまでが大変でした。30件以上も断られ、最後は知り合いのツテでやっと設計事務所へ見習いに入社できました。
自分よりも若い人から数年も遅れてスタートする修業も大変だったらしいです。
直ぐに辞めるだろうと思われていた様で、最初の頃は上司からは、まともに相手もして貰えず、仕事も見様見真似で盗んで覚えました。
ゴミ箱に捨ててあったエスキスも拾って参考にしたらしいです。
今の人手不足とは違い、ひと昔前の世代は設計事務所で修業する人も多いので、優しく丁寧に育てて貰える環境ではありません。
事務所内の若い設計士達にも馬鹿にされて悔しい思いも何度もしたそうです。
しかし、我慢して数年勤めているうちに彼も実力がついてきて段々と重要な仕事を任される様になりました。
その後、40代で独立してから彼は売れっ子の設計士になりました。
30歳の未経験から建築士で成功できた3つの行動パターン
下積みで苦労した分だけ人よりも気配りに長けています。飲食店の前職の経験から店舗関係のデザイン設計には強いです。
また仕事を頼んでくれる飲食店経営者の仲間の人脈を持っていた事も強みで、お客様を増やす事ができました。
回り道したので誰よりも仕事に対しての情熱も強く、そんな彼の人柄や生き方のファンになり仕事を頼む人も多いです。
彼が成功できた理由は3つです。
1)今までの自分の強みを活かした(前職の人脈、営業力など)
2)精神力が強く困難でも簡単に諦めなかった
3)独立して建築士の仕事をしていく事を当初から目標にしていた
1つ目の自分の今までの前職の強みを活かす事は、遅いスタートの人は特に重要です。
特に設計士は独立すれば技術だけでなく、仕事を取れる営業力が必要になります。
彼の様に魅力のある人柄で営業力が人よりも秀でていれば、遅いスタートでハンディがあっても成功できる可能性はあります。
2つ目の精神力の強さは必須です。
異業種からの建築士へのキャリアチェンジは大変な事は間違いがないです。
困難な事にぶち当たっても心が折れない人でないと潰れてしまいます。
最後の3つ目の独立を当初から目標にしていた事実も成功するポイントです。
もし会社勤めのままであれば、設計士としての出世は遅かったとは思います。
彼の様な遅咲きの設計士の成功者は少ないですが、営業力や人脈など他の強みがある人は独立すれば強いです。
遅いスタートの設計士は独立する位の気概と根性が無いと成功は難しいです。
以上の3つの行動パターンを実践できそうな人は、20代後半から建築士になっても成功できる可能性が高いです。
未経験から建築士への転職を可能にする転職紹介とは
20代前半ならば未経験者であっても建築士への転職はしやすいです。
しかし新しい転職先で役立ちそうな前職の売りが無い28歳以上の未経験者は厳しいです。ゼロから建築士を志望しても転職活動では苦戦します。
20代の若手の転職に強い会社へ登録しても自分の希望する職種の求人を紹介してもらえない事も多いです。
参考記事:「20代の二級建築士のリアルな転職事情とは?20代お薦めの人材紹介会社の一覧」
転職エージェントに求人を紹介してもらえない理由
理由は下記にあります。
大手の人材紹介会社には、業種を問わず様々な求人がきています。
仮にあなたが未経験で建築士への転職を希望したとしても、転職エージェントは、前職のあなたの経歴に近い職種の求人を薦めてくる事が多いです。
一般的に30歳になると未経験者の建築士志望は企業に採用されにくいです。
応募者の経歴にマッチングしやすい職種を進める方が合理的です。
転職エージェントにとって転職は成功率しないと意味がないからです。
実際に30歳が目前の未経験者は、仮に建築士の求人を求めて人材紹介会社に登録しても、自分が出来る仕事から職を選ぶ様に説得される事が多いのです。
私も、以前に経験の浅い職種の求人へ応募を希望した時は、転職エージェントから紹介自体を無理だと断られた経験があります。
設計の経験レベルが低い事とアシスタント職に紹介するには年齢が高過ぎるの2つの理由からでした。
自分が経験してきたキャリアに合う職を選ばないと内定は決まらないと、何人もの転職エージェントからアドバイスされた経験があります。
この時は、嫌という程、やりたい職種の求人を紹介してもらえない自分の能力の無さを自覚させられました。
未経験者が希望する職を紹介して貰えない事は、転職で職が決まる成功率だけを考えると転職エージェントの意見は間違ってはいないです。
売りの無い未経験者は相手にされなくて当たり前です。
また未経験者歓迎のハタラクティブの場合もおすすめです。
企業から要望が多いのは、20代半ば迄の世代です。
30代までの求人もありますが。該当する求人が減ります。
労働条件が悪い会社であれば未経験者でも可能性がある
給料などの条件は悪いですが、二級建築士の取得を目指す未経験者の設計アシスタント職の求人への採用率も高いです。
理由は、募集しても人が集まりにくい中小企業であれば、
不動産や建築業界専門の転職エージェントが売り込めば、求人の応募条件よりも年齢が高くても採用する場合が多いからです。
中堅規模の人材紹介会社は大手の人材紹介会社ほどの知名度や営業力はありません。
よって転職を希望する登録者は大手に比べれば常に不足気味です。
しかし会社に寄せられる求人も特化しているので、更に企業の希望に該当する登録者も限られます。
登録者数自体が少ないので、結果的に年代が高い未経験者の紹介にも比較的力を入れて売り込んでくれます。
未経験者の転職で特に注意しないといけない事は、求人も設計士関連があっても未経験者向けは、私の経験上、条件が悪い中小企業が圧倒的に多いです。
それでも耐えられるか? 覚悟は必要です。
また担当のエージェントによっては、個人それぞれに丁寧にキャリア構築の相談などはあまりしてくれない場合があります。
ハタラクティブの様なきめ細かいな親切さは無い場合は、業界をあまり知らない未経験者は、入社後のミスマッチを起こす可能性もあります。
担当のエージェントからの言葉を鵜呑みにせずに、他からも情報収集する知恵を持ってください。
自己判断で転職活動を進めていく事が、失敗しない秘訣です。
最後に 人生は後悔しない事が1番大切
上記で紹介した設計士の成功事例の様に、諦めなければ、20代後半からの未経験者でもチャンスはあるかもしれません。
異業種から建築業界に入った私も仕事では何度も挫折しました。
建築の仕事を辞めた方が良いのでは?と迷った事も何度もあります。
しかし、どんなに酷い状態になった時でも、自分の過去の選択は後悔しませんでした。
その理由は、自分が決断して、その時々に一番やりたい事を選んできたからです。
ベストを尽くせば、その結果はたとえ上手くいかなくても納得できるからです。
私の経験では、最初から無理だと諦めてしまうよりも、ベストを尽くしてから修正方法を考える方が建設的です。
あれをすれば良かったと「やらなかった事を後悔する」のは、取り返しがつかないです。
「思考は現実化する」の通り、ほぼ自分が望んでいる人生を歩む様に人はできています。
人生は人それぞれ
自分がやりたい事に年齢関係なく挑戦するのは素晴らしい
そして進む道を決めたならば、中途半端にするよりも悔いが残らないまで頑張る方が後悔しないです。
やると決めれば全力で取り組んで下さい。
後で挑戦しなかった自分を後悔をしない様にして下さい。
あなたの成功をお祈りしています。
悩んでいる人は、他の記事も読んでみてください。
コメント