土地を相続すると、意外なほど高い相続税に驚かされる人は多く、相続を放棄して物納するケースが増えています。
物納とは、延納しても金銭で相続税を納付することが難しい場合は、不動産、国債証券や上場株式などの物で相続税を納めることです。
ここでは、相続税の中で、大きなウエイトを占める土地の評価法と税金の計算方法を学びます。
土地の評価法や税金の計算方法は、将来、自分の家に相続税が発生する時にも覚えておくと役立つ知識なので読んでみてください。
Contents
相続する土地の評価と税金の計算方法。不良不動産とは?
不動産の評価の種類は「一物四価」と言われ、一つの土地に4種類の価格がついています。
・実勢価格:実際の土地の価格
・公示価格
・路線価
・固定資産評価額 ;3年に一度、市町村が行う。土地の特性をみて判断して評価
市街化区域の土地と建物の評価方法
市街化区域では、「路線価」を元に土地を評価します。
・土地に路線価のある土地(路線価方式)
路線価 × 地積(㎡)
路線価は毎年、公表されており、最も路線価の高い「最高路線価」は32年連続で、銀座鳩居堂(文房具屋)前で4,032万円/㎡。です。
建物の評価方法は、土地の評価法とは違い固定資産税評価額で算出します。
・建物 固定資産税評価額 × 1.0
市街化調整区域の土地
路線価が定められていない地域の土地を評価するときに用います。
固定資産税評価額に倍率を乗じて評価します。
・路線価のない土地(倍率方式)
固定資産税評価額 × 倍率(倍率表)
評価を下げられる土地の特例と補正方法
路線価や固定資産税評価額で、土地の価格は出ると思いがちですが、不整形地の判断は、路線価からの評価方法だけでは不十分です。
現地を調査すると下記のような悪条件を持つ土地は、路線価よりも実際に売却しようとしても価値が下がります。
・法地(傾斜地)
・高低差
・道路幅員
・地積規模の大きな宅地の評価(平成30年1月1日)
最後の「地積規模の大きな宅地」とは、面積が広すぎることによる使い勝手の悪さを考慮した減額補正をする事です。
大きすぎる土地も使い道はなく、処分に困る事が多いことから減額補正されることになりました。
「地積規模の大きな宅地」に該当する条件
三大都市圏とそれ以外では、条件が変わります。
三大都市圏 | 500以上の地積の宅地 |
三大都市圏以外の地域 | 1,000以上の地積の宅地 |
次の(1)から(4)のいずれかに該当する宅地は、地積規模の大きな宅地から除かれます。
・市街化調整区域(一部の区域を除く)に所在する宅地
・用途地域が工業専用地域に指定されている地域に所在する宅地
・指定容積率が400%(東京都の特別区においては300%)以上の地域に所在する宅地
・財産評価基本通達22-2に定める大規模工場用地
(引用参照:国税庁より)
★ 路線価図の調べ方
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm
下記の地域の一部が三大都市圏に該当します。
・首都圏:(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県)
・近畿圏:(京都府、大阪府、兵庫県、奈良県)
・中部圏:(愛知県の一部、三重県の一部)
(参考:国土交通省:大都市圏整備:大都市圏整備法(首都圏整備法・近畿圏整備法・中部圏開発整備法)
★都市圏ごとに「政策区域構成市町村」が確認できます。
土地の相続をおびやかす不良不動産
不良不動産とは、売却が難しく資産になりにくい不動産のことです。
解決には時間がかかるので、相続が発生する前に対処が必要な土地です。
・境界が確定していない
・貸地などに不明な権利関係がある
・近隣とトラブルがある
・隣地からの越境がある
・無道路地
・違法建築の建物
・旧耐震建物
不動産に付随するトラブルは相続が発生する前から早く解決するのがおすすめです。
不動産の価値が上がれば、スムーズに売却しやすくなります。
将来、土地を相続する時の備えとして現在の自分が所有する不動産について、見直してみてください。