AI時代に宅建士は不要で、宅建士は将来性のない資格!?
宅建士を目指す人のモチベーションを思いっきり下げる心配な事があります。
2017年に話題になった「将来は無くなる仕事」をご存知ですか?
「10~20年の近い将来にコンピューターに変わられ、消える可能性の高い仕事」は、世間に衝撃を与えました。
(参照:オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン氏の論文『雇用の未来』より)
AI(人工知能)が幅広く世の中に普及する事で現在の40%から60%の職が消滅すると発表されています。
その将来なくなる仕事の中には、「不動産ブローカー」(不動産の仲介売買取引業)も含まれます。
そうなると今後宅建士の資格を取得しても無駄になると言う人も中にはいます。
しかし、ちょっと待ってください。
本当に宅建士は、将来なくなってしまう仕事なのでしょうか?
今回は不動産の仕事を中心にAI時代に生き残る3つの方法を検証してみました。
(画像:acworksさん)
Contents
AIと宅建士の将来性:AIを活用した不動産業務
不動産取引の一部の仕事がなくなる事は、既に世界中で現実に起っています。
しかし、同時に新たな宅建士の仕事の可能性も生み出しています。
日本でもAIを活用した不動産取引の最適なマッチングのビジネスに取り組む企業があります。
下記は、不動産売買への生活者のQ&AデータをAIで分析して、宅建士を事業に活用している事例です。
株式会社OKGAIA
AIを活用した宅建士向け情報事業の新会社の設立
【事業内容】
Q&Aサイト「OKWAVE」とAI技術を活用した宅建士情報サイトを展開
【下記のサービスを提供】
・不動産売買を行いたいお客様と宅建士とのマッチング
・個別相談サービス
・宅建士同士の情報交換サービス
また、売主と買主の双方に最も適した物件を選び出す「分析の業務」
これにAI(人工知能)を積極的に導入している会社もあります。
これらの不動産の分析業務が効率よく行えると、同時に不動産営業の効率が良くなります。、
AI技術を取り入れた不動産テックにより、業績が上がる会社が増えています。
AI時代でも宅建士が必要な3つの理由
ご存知の方も多いかもしれませんが、AI(人工知能)自体は以前からあった技術です。
1950年頃からAI(人工知能)は、実用に向けて日本でも開発されてきました。
機械の深層学習、ディープランニング(英: deep learning)技術のAIブームは、今回が3回目と言われています。
今回、これだけ注目され始めたのは、コンピューターの処理速度が速くなり、実用化が現実化してきたからです。
囲碁ゲームで人間に勝利した事から、私達が、人間以上の知能を持つ頭脳を活用できる可能性への期待感が高まっています。
しかし、AI(人工知能)が最も得意な事は、データの記憶と判断・意思決定です。
よってこの範囲に収まらない業務であれば、まだ実用化は難しいとも言われています。
AIに宅建士の既得権を与えるべきか?の法整備は未定
宅建士(宅地建物取引士)は国家資格です。
よって宅建士しか行う事ができない既得権の業務があります。
不動産取引の物件の重要事項の説明や契約業務は、独占業務です。
国家試験に合格した、専門知識のある宅建士の免許を持つ者しか行えないです。
資格者の専用業務にする事で、購入者への保護と公正な取引を成立させる事を目的としています。
どんなにAI(人工知能)が知識や判断能力が人間に迫ってきても法律の壁もあります。
不動産の契約業務は宅建士の資格を持つ人以外は、今の日本の法律では禁止されています。
将来、法改正でAI宅建士でも業務を行う事が可能とならない限りは、一番大切な業務(重要事項の説明や契約)を行う事ができません。
国家資格である「宅建士」を持つ事もAIができない業務ができる差別化になります。
不動産業界の転職は、宅建士は持っていて当たり前の時代になるかもしれません。
AIは、正しいデータを集める事が難しい。宅建士の判断が必要
法律が改正されない限りは、できない業務がある以外にもAIには、弱点があります。
それは、データの記憶と判断・意思決定は可能でも、判断基準になるデータ自体を、自ら集める業務は、未だ不十分だからです。
不動産の分析業務が行えるQ&Aサイト「OKWAVE」があります。
この会社では、既に過去の膨大なデータが蓄積し、それを利用できます。
よってAIの特性を活かす業務が可能です。
しかし、多くの中小企業では、分析の土台になるデータが無い場合がほとんどです。
自社でマッチングサービスなどを行い、データが集まるプラットホームを持っている会社でないと集まりません。
それは、医療系の分野でも同じです。
大学病院など専門性が高い分野で、データが多く蓄積している所は少ないです。
AI導入に一番必要な業務は人間のチェック業務
AI(人工知能)を業務に導入したい会社は多くあります。
しかし、まだ多くの会社が導入しきれていません。
その理由は、判断の元になるデータが十分に集まらないからです。
データはあっても整理しきれない事情があるからです。
確かに今は、ネット上に多くの情報が溢れ、情報の入手は簡単そうです。
最近では、データやシステムごと売り出されている物を一式買う企業もいます。
しかし、集めたデータが正しいかどうか?
目的の為には、どんなデータが必要か?
など核の部分はまだ人間でないと判断できない事が多いです。
特に不動産の情報は流動的で、複雑な事から同じ属性に見えても違う場合が多いです。
正しい情報を分析しているかどうか?
データのバランスや信憑性などは、人間の宅建士が判断する必要があります。
接客業は人間という心理的な壁を越えるのは簡単ではない
不動産業界では、対面の接客業は生身の人間にして欲しいという要望は未だ根強いです。
例えば、チャットなどの文面であれば、AI接客でもOKだが、契約は、法律の規制は関係なく、対面でないと不安な人は多いです。
不動産業界以外でも接客をどこまでAIロボットに代用できるか?は、各社研究が進んでいます。
例えば、革新的なメガネ製品を生みだしヒットを連発してのJINSはAIを利用する研究の先端をいっています。
店頭からバックヤードまで、業務内容を細かく分析して、どこまでロボットで代用できるか?の実験が社内で行われています。
業務分析を行った実験結果は、業務の内容的には、ほぼ全ての業務での代用は可能です。
しかし対面の接客業に関しては、人間を完全に排除するには、心理的なハードルが、まだまだ高いそうです。
JINSは、どこまでAIが接客するならば、人に不快感を与えないか?という不快感レベルの研究を進めています。
今後、AI(人工知能)技術が進んだとしても、人にしかできない仕事もあります。
宅建士が機械よりも勝る仕事は多くあります。
宅建業務に求められるAIに負けない3つの能力とは?
上記のAIができない業務を見ていると、不動産業界で生き残る人材になる為の3つのヒントがあります。
・宅建業の既得権がある国家資格の宅建士を取得する
・不動産取引のデータが正しいか判断できる力をつける
・対面の接客業に自分の個性を出して磨きをかける
実務でAIを秘書の様に活用できる人は、より生産性の高い仕事ができます。
ITリテラシーが無いので、自分はAIの活用はできない、と言っている場合ではありません。
AIを業務に使う目的設定や、正しいデータの導き方は、ベテランの実務経験が無いとできない仕事です。
ITが苦手で無縁な人でも、実は自分の持っている長年の現場の実務経験が活かせるチャンスもあります。
自分に自信を持ち、柔軟に新しい事にチャレンジしていく精神も大切です。
AI時代は宅建士にも不動産業界にも新たなチャンス
不動産業界ではAIの導入は悪い事ばかりではありません。
効率の悪い新規営業がなくなり、長時間労働が減るとも言われています。
不動産業界で指摘されているブラックな労働条件が飛躍的によくなる可能性もあります。
(引用:RRiceさん)
また歴史で証明されている様に技術革新は、常に新たな雇用やチャンスも生みます。
18世紀後半にイギリスから始まった技術革新による産業革命が起こった時に、馬車や人力作業がなくなった代わりに、鉄道事業や工業に関わる新たな雇用が創出されました。
21世紀であればインターネットの普及で多くの急成長ベンチャーが生まれました。
1人で経営する個人事業であっても、元手がかからないネットビジネスで富を築く人も数多くいます。
古い商売慣習が残る不動産業界も例外ではなく、逆に新ビジネスが生まれるチャンスです。
AI時代を楽しんで前向きに、頑張っていきたいものです。
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