宅建士「正式名称:宅地建物取引士」の資格は不動産業界の登竜門の様な資格です。
しかし不動産業だけでなく建築、銀行、保険業界、飲食小売業界など様々な仕事で宅建は役立ちます。
私の周囲には、二級建築士取得後、宅建に挑戦した建築士が何人もいました。
一級建築士の合格まで時間がかかるので、先に転職で有利になる資格を取得したい事が主な理由でした。
ほぼ全員が4ヶ月から1年位の勉強期間で宅建に一発合格しました。
合格後は、不動産業だけでなく様々な業界で転職を成功させた人達もいました。
宅建は誰でも受験する事ができる試験です。
平成29年度の試験の最年少の合格者は13歳でした。
そして宅建は二級建築士とダブルライセンスするには非常に相性の良い資格です。
一級建築士ほど難関試験ではなく、効率よく勉強すれば短期間で合格できます。
今回は転職のコスパが良いダブルライセンスの効果についてお伝えします。
Contents
宅建と二級建築士のダブルライセンスが相性の良い理由
仕事の関連性が高い宅建(タッケン)と二級建築士
宅建(タッケン)と二級建築士は土地と建物に関わる点が共通しており、仕事の関連性が高いです。
どんな業界でも土地と建物の契約や造作は、商売をする時には必ず関わってきます。
よって下記の2つの専門知識をもつ資格者はどの業界でも重宝されます。
宅建: 不動産資産の知識、売買契約や賃貸契約の法律の知識
二級建築士:建築物の全般知識、建築法の法律の知識
特に土地開発や新築、増築、リフォームの仕事は、契約面などの法律知識を持つ建築士は、顧客からも信用されやすいです。
また不動産取引をする場合でも建築士を所持し、建築面でのアドバイスも顧客にできる方が契約率が上がるとも言われています。
宅建と二級建築士は国家資格です。
これら2つの国家資格の強みは、独占業務がある事です。
宅建士の独占業務と設置義務
下記は宅建(宅地建物取引士)所持者しかできない専権業務です
宅地・建物の取引の契約事項
1)重要事項の説明
2)重要事項説明書(35条書面)への記名、押印
3)契約書(37条書面)への記名、押印
土地や建物の契約前に行う重要事項の説明、契約の売買は宅建の資格取得者しかできません。
そして不動産取引を行う事務所等について、下記の割合で専任(常勤)の宅建士を置くことが宅建業法で義務づけられています。
1)事務所については、業務に従事する者の5名に1名以上
2)案内所等については、1名以上
不動産取引は宅建士がいない会社では業務自体を行う事ができません。
建築士の独占業務と設置義務
一方、下記は建築士にしかできない専権業務です。
1)建築物等の設計・工事監理
2)建築主に対する重要事項説明
3)建築確認などの申請業務
「2)建築主に対する重要事項説明」は法律で義務づけられています。
設計・工事監理契約の締結前には、その会社に所属する建築士か管理建築士は、建築主(施主)に書面を交付して説明を行う必要があります。
二級建築士は一級建築士と違い、建物の規模、用途、構造で業務制限があります
二級建築士の業務範囲木造建築物 延べ面積が300㎡以内、高さ13m、軒高9m以内の2階建
その他の構造物 延べ面積が100㎡以内
二級建築士は戸建住宅程度の規模であれば設計や建築業務ができます。
特に新築物件は建築士がいないと設計や確認申請ができません。
宅建と二級建築士のダブルライセンスの転職の需要は高い
宅建の仕事は不動産仲介に必要な業務を行う事ですが、宅建の転職ニーズがあるのは不動産業界だけではありません。
特に二級建築士と宅建のダブル取得者は、不動産業界だけでなく幅広い業界で重宝されます。
会社によっては5,000円から30,000円の資格手当がつきます。
それでは人気の度合いと需要を順番にみていきましょう。
資格者の求人件数で宅建は3位、二級建築士は5位
求人件数では宅建と二級建築士はランキングの上位に入ります
下記の「求人件数からみた企業が求める資格者のランキング」を見てください。
(資料:リクルートエージェントより)
人気はあっても関連性のない資格を組み合わせても相乗効果は生まれません。
しかし二級建築士と宅建は法律と建築それぞれの知識を掛け合す事ができるので土地と建物を扱う業務には最強です。
企業にとっても1人の社員が複数の業務に精通する事は生産性も上がります。
また、独占業務を持つ2つの国家資格は業務に必要不可欠なので、求人数も自然に多くなります。
次は、不動産業界以外の業界でも活躍する宅建と二級建築士のダブルライセンス者の転職先を紹介します。
宅建と二級建築士:建築業界の求人
建築業界では、ハウスメーカー、工務店、設計事務所などでも二級建築士だけでなく、宅建の取得者も評価されます。
建築物件を担当する営業職やプランニングを行う設計士は、お客様と直接打ち合わせをする機会も多いです。
建築だけでなく、不動産取引の法律の知識があれば、顧客の相談に幅広く対応できるので信頼されます。
また建売分譲など不動産業務を並行して行なっている会社であれば、売買契約に宅建士は必要です。
施工業を請け負うだけでなく自社で建築した物件を販売する建築会社も多いです。
不動産会社と同様に「案内所に1名」「従事する者の5名に1名以上」宅建の取得者を会社に置く義務があります。
宅建所持者は、宅建業務の名義で役立つだけではありません。
物件の重要事項の説明など契約業務を担当できるので活躍の機会が多いです。
宅建と二級建築士:保険、金融業界、投資会社
日本で資産を持つ人の主力資産の一つが不動産です。
保険や金融業界では、不動産資産に関わる業務は重要です。
金融機関では特に融資時に担保として不動産の価値を算定してから貸し出しをする事も多いです。
不動産の取り扱いには、法律の知識だけでなく物件の状態を目利きできる建築の知識や技術力も必要になります。
また顧客の相談も専門知識がないと資産形成のアドバイスもできません。
特に富裕層を相手にする商売は特に建築や宅建の幅広い知識が要求されます。
自社商品の説明しかしない営業マンよりも相続や土地売買、税金の悩みまで相談に乗れる人の方が、顧客から信頼されます。
そしてディベロッパーや不動産投資会社など幅広い不動産を扱う業種でも建築士と宅建は有効な組み合わせです。
多くの一級建築士や宅建士が採用されています。
宅建と二級建築士:飲食・物販業などの小売業界
チェーン店など多店舗展開の会社では特に需要があります。
出店物件の契約など宅建の専門家が社内にいると業務がスムーズに進みます。
また建築士の現場で物件の瑕疵なども調査できる力は、優良な店舗物件を探し出す事にも役立ちます。
建築物の構造や強度の判断などは素人では、なかなか難しいからです。
最近では社内で店舗開発の部署を設けて、外注任せではなく基本の設計やデザイン業務を社内で全て行う会社も増えています。
この様な店舗開発の部署では、積極的に一級建築士だけでなく二級建築士や宅建の所持者を採用しています。
建築士と宅建のタブルライセンスの所持者は、出店から企画、設計、工事までの様々な店舗開発業務に対応できるので重宝されます。
宅建と二級建築士のダブルライセンスの将来性
宅建と二級建築士の資格は業務に必要な国家資格です。
しかし既に取得者が多く、市場では飽和状態であるとも言われています。
また少子高齢化で日本市場は将来は縮小していくので、将来、建築物や不動産取引は減っていくとも予測されています。
しかし、土地と建物が将来なくなるという事は考えられないので、一定数の資格者は将来も必要です。
★ 宅建士と2級建築士の2つの資格取得の優先順位に迷っている人は、
こちら >>>>「宅建(タッケン)と二級建築士の合格率と難易度を比較!転職はどちらを先に取得するが有利?」
建築士や宅建の資格の弱点は、日本の法律を土台にしている資格なので日本国内でしか通用しない事です。
もし海外で不動産取引や建築物を建てようとすれば、その国ごとの法律に対応する必要があります。
しかし、ある意味、閉鎖的な日本国内でしか通用しない資格だからこそ、法律を土台にした独占業務を行える利点があります。
将来は日本の労働人口も減ります。
しかし、有能な働き手が必要とされるのは、いつの時代になっても変わらないと思います。
★ 宅建士の合格率の高い通信講座は? >>> 【宅建フォーサイト】評判と口コミは?宅建に合格した私が脅威の合格率を検証!
コメント