不動産投資に中古住宅はなぜ売れないか?家が売れない理由と中古の家の売り方

宅建士が仕事で扱う住宅物件は、新築ばかりではありません。

今後、バブル期に大量に供給された築30年以上の住宅が不動産市場に出回ってきます。

 

宅建士で中古住宅の販売や賃貸仲介を経験した人によれば、このような中古住宅は、新築に比べて売りにくい場合が多いです。

物件に築年数の古さを上回るだけの魅力が無ければ、一般的に購入者は新しい物件を選びたがります。

 

その動きは、売買だけでなく賃貸用のマンションやアパートでは、より顕著です。

実際にアパートは新築してから10年間は借り手がつきやすいけれど、10年後は空室になりやすいと言われます。

また、マンションの賃貸物件でも、水回りが新しくリフォームされている方が借り手がつきやすいです。

 

今回の「宅建士の仕事」では、日本の中古住宅市場の現状と売れない理由について考えてみます。

中古住宅が売れない現状

自分流が好きなデザインに改装して住むリノベーションブームのお陰で、一部の中古住宅市場が活気づいています。

しかし、下記の新聞記事では、日本の中古住宅は新築に比べると売れていません。

17年度の国土交通省の調査によれば、日本の中古住宅の流通戸数は、全体のわずか15%です。

(引用記事:「中古住宅なぜ売れない」2018/12/3付 日本経済新聞 夕刊より)

 

「新築の方が気持ちよく使える」などの理由から多くの人が新築住宅を選びたがります。

日本では、新しく快適な部屋と住宅設備のある物件に住みたいという需要は根強いです。

 

また、購入をためらう大きな理由は、中古住宅の隠れた瑕疵や不具合が心配な事です。

中古住宅には、新築住宅に付与される「住宅品質確保促進法」のような手厚い保証制度がありません。

 

購入後の保証期間の問題もあります。

新築で10年間の瑕疵が保証されるのに対して、中古住宅の保証は、数カ月以内がほとんどです。

中古住宅には、売り手の業者が個別に保証をつける事はあっても、公の保証制度はありません。

 

私も分譲住宅の購入や賃貸物件も探した経験もあるので、中古物件に気乗りしない気持ちは、よく理解できます。

 

一方、リフォームして住宅の価値を高める事が一般的な諸外国であれば、日本ほど新築信仰は強くないです。

上記の記事によれば、米国は約83%(14年度調査)、英国は約87%(13年度調査)の中古住宅が市場で流通しています。

 

日本でも中古住宅の市場の透明性を高め、取引を活性化させるための動きはあります。

平成25年6月に国土交通省から建物状況調査(インスペクション)のライドラインが公表されました。

国土交通省のガイドラインは こちらから

 

インスペクションで住宅の価値を高め、中古住宅でも安心して購入してもらう事が狙いです。

ではインスペクションとは、どのような調査なのでしょうか?

住宅の建物状況調査(インスペクション)とは

インスペクション(建物状況調査)は、国土交通省の定める講習を修了した建築士でなければ調査はできません。

「既存住宅状況調査技術者講習制度」については国土交通省のホームページで公開されています。

参照先:登録講習の実施機関一覧

 

調査する箇所と内容は、下記になります。

・建物の基礎、外壁など建物の構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分

・主にひび割れ、雨漏り等の劣化・不具合の状況を把握するための調査

(参照:国土交通省 公表資料より)

構造耐力上主要な部分とは、建物の構造で重要な部分です。

(参照:国土交通省 公表資料より)

検査にかかる所要時間は3時間程度目視と非破壊検査を中心に行います。

非破壊検査とは、建物を壊すことなく欠陥や劣化の状況を調べ出す検査技術のことです。

 

下記のような検査を行います。

(参照:国土交通省 公表資料より)

インスペクションは、あくまで状況の調査に過ぎず、調査員は判定や保証を行いません。

公表資料にも保証はしないと明記されています。

「建物状況調査は、瑕疵の有無を判定するものではなく、瑕疵がないことを保証するものでもない」

売り手や買い手の立場からすれば、中途半端な権威のない状況調査のような気もします。

 

そして、このインスペクションは、2018年度の4月に重要な法改正がありました。

宅建士に「宅建士の重要事項の説明」の中で、インスペクションの説明が義務付けられました。

2018年10月の宅建士試験にも出題されるほど、宅建士には重要な法改正です。

日本でインスペクションの導入が進まない現状とその理由

改正法の最大の目的は、不動産の買い手側のリスクを軽減して、中古住宅の価値と信ぴょう性を高めることでした。

しかし、下記の記事では、期待されたインスペクション制度の信じられないぐらい低い普及状況です。

2018年度の4月の法改正から、半年後の普及率は1%に満たないというデータもあります。

(引用記事:2018/12/1付 日本経済新聞より)

 

なぜ、インスペクションは日本では普及しないのでしょうか?

手間がかかるばかりでメリットがないと話す不動産業者が多いです。

 

その理由として、もし調査で不具合が見つかれば、物件の価値も落ちるし、契約も成立しない可能性があります。

 

また、宅建士が行う「重要事項の説明」のタイミングの問題もあります。

「重要事項の説明」は、住宅を購入する契約前の段階で受ける説明です。

その時になって初めてインスペクションの存在を知る購入者もいます。

 

仲介業者や売り主がインスペクションの導入に対して意識が低ければ、当然顧客には説明しなくなります。

インスペクションが広まらないのは、顧客の意識が低いだけでなく、不動産業者側にも原因があります。

宅建士が中古住宅を売れるようにする方法とは

中古住宅を売れるようにするためには、顧客に対しての徹底した情報開示は必要です。

日本のインスペクション制度が中途半端なものであっても、検査結果は重要な情報です。

 

「重要事項の説明」の時だけでなく、住宅の売り手には、積極的に提案していくべきだと私は思います。

また買い手に対してもインスペクション済みの物件の安心感も説明していくべきです。

 

その理由は、中古住宅の流通が成功しているアメリカでは、徹底した情報開示によって不動産ビジネスが成功しているからです。

(参考記事:宅建士の仕事に不動産テックは欠かせない?!USの英語サイト不動産検索”Zillow”に学ぶ)

 

これからの宅建士の仕事は、単に依頼された住宅の売買や仲介を行うだけでは、成功しにくいです。

売れる住宅を一緒に顧客とつくる提案力もある方が、これから中古住宅が大量に出回る厳しい時代も成果が出しやすいです。

 

その手段の1つとして、中古住宅の販売にはインペクション制度が活用できます。

多少手間がかかってもライバルに先駆けて積極的にノウハウを蓄積する方が、競争力が高まります。

不動産業界の年収アップに役立つ記事です。

(参考記事:「不動産業界で年収アップしたい人が絶対に身につけるべき3つのスキルとは?」)