不動産の価値は、都市の魅力によって左右されます。
そして建築士の仕事も都市の発展に大きな影響を受けます。
世界中の都市の人気を格付けする調査があります。
毎年、A.T.カーニー会社(A.T.Kearney)が“Global Cities Report”「グローバル都市調査」を発表しています。
「グローバル都市調査」とは、全世界の約135都市を対象に
経済・文化・生活面など幅広い方面から評価し、順位付けする都市調査です。
現在のパフォーマンス(指標)と将来性(展望)の2方面から評価します。
・「グローバル都市指標(Global Cities Index:GCI)」
・「グローバル都市展望(Global Cities Outlook:GCO)」
上記のスコアから今後、世界で最も影響力と規模が大きく、重要な都市を判断します。
今回は、「グローバル都市調査(2018年)」に上位にランクインした都市を紹介します。
建築の仕事にも、英語力は必要となるので、一部、英文の解説も記載しています。
英語ができると、建築の仕事の幅も広がりますので、挑戦してみてください!
Contents
Global Cities Index : グローバル都市指標とは
Indexは、指標、索引などの意味で使用され、グローバル都市指標(GCI)は、下記の5項目から評価します。
・「ビジネス活動」business activity (30%)
・「人的資源」human capital (30%)
・「情報交換」information exchange (15%)
・「文化的経験」cultural experiences (15%)
・「政治的関与」political engagement (10%)
評価方法としては、「ビジネス活動」と「人的資源」の比重が高く、
この2つで全体評価の60%を占めます。
全部で27の評価基準を基にランク付けします。
ビジネス活動を行う環境が整い、高レベルの人材が確保しやすい国が評価が高くなります。
Global Cities Outlook : グローバル都市展望とは
グローバル都市展望(GCO)は、認知度が高く既に地位を得ている都市よりも、将来の可能性を判断します。
Outlookとは、メールソフトの名前で馴染みがありますが、「将来の展望見通し」の意味で使われます。
outlook【名】
- 見解、物の見方、あるものに対する態度
- 〔ある状況から生まれる〕将来の展望[見通し]、前途
- 〔ある場所からの〕景色、見晴らし
(引用:「アルク英辞郎」より)
4つの観点から評価します。
・「個人の幸福度」Personal well-being (25%)
・「経済」Economics (25%)
・「イノベーション」Innovation (25%)
・「ガバナンス」Governance (25%)
上記の指標と違い、展望では、4項目をそれぞれ均等に判断します。
国の政治が安定しているか?も評価の対象になります。
ガバナンス(governance)とは、
統治のあらゆるプロセスをいう。政府、企業などの組織のほか、領土、ITシステム、権力などにも用いられる広い概念である。
(引用:Wikipediaより)
都市の「指標」と「展望」で 総合評価が高い都市
「指標」と「展望」で評価が高い25の都市が、上位から紹介されています。
(画像引用:“Global Cities Report“)
順位表には、昨年の都市評価も一緒に掲載されます。
“rank” 都市の総合ランクだけを見れば、
上位5位までは、2017年も2018年も順位に変動がありません。
1位 ニューヨーク
2位 ロンドン
3位 パリ
4位 東京
5位 香港
6位 ロサンジェルス
しかし、Global Cities Outlook 都市評価の展望になると評価が変わります。
東京(14位)、香港(54位)やロサンジェルス(30位)は、上記と同じ順位にはなりません。
グローバル都市展望で上位に入る都市
将来性では、サンフランシスコがニューヨークを抜いて1位です。
そして、指標の評価では高い順位ではない、都市も上位に浮上しています。
(画像引用:“Global Cities Report“)
・1位 サンフランシスコ
・2位 ニューヨーク
・3位 ロンドン
・4位 パリ
・5位 シンガポール
・6位 アムステルダム
・7位 ミュンヘン
サンフランシスコは、イノベーション分野が、高く評価されました。
特許と起業の数が増加し、世界でもトップクラスです。
長年にわたり起業家活動を支えてきた風土が、今回の順位結果に結びつきました。
パリとニューヨークは、経済活動面が強く、海外の直接投資が依然増加し続けています。
インフラ面の改善が続き、ビジネスの利便性が高い事も大きく評価されています。
ロンドンは、総合(2位)や将来展望(3位)と、どちらでも高い評価を得ています。
EU離脱の問題など、不安な要素はありますが、依然世界では影響力の強い重要な国です。
都市調査(2018年)のハイライトを英文で読む
A.T.カーニー会社のレポート”Highlights from the 2018 Global Cities Report”の英文を一部読んでみましょう。
(画像引用:“Global Cities Report“)
【要約】
・7つの新しい都市が指標と展望に追加されました:米国のシアトルが、初めてランキングに加わり、そして、中国の6つの都市がランキングに登場しました(長沙、仏山、寧波、唐山、無錫、煙台)
・ニューヨークは、事業活動および人的資本における好調な業績に支えられて、都市評価指数で第1位を維持しています。
【要約】
・サンフランシスコは、革新の継続的な強みに牽引されて、Global Cities Outlookの第1位を獲得しています。
・すべての指標で総合スコアが100である、理論上「完璧な」都市は、15都市で構成されています。ニューヨークは27の指標のうち5つ、4つのBrusselsでトップの座を獲得しました。これは、どの都市も、グローバル都市を作るあらゆる側面に制限をかけていないことを強調しています。
・driven by :《be ~》~によって決定される、動かされる
・metrics : metric(単)
【1形】メートル(法)の
【2名】測定基準・Are there metrics for things like love, beauty or sadness? : 愛や美しさ、悲しみといったものを、測る物差しは、あるでしょうか?《物理》計量
claim :
【他動】〔事実として~を〕主張する、言い張る、断言する
・reinforces: 【他動】
- 〔補強材などにより〕~を強化する[補強する]
- 〔証拠などにより考えや意見を〕強固にする、強める
- 《軍事》〔軍隊を〕増強する
- 《心理学》〔望ましい行動を取った被験者に〕報奨を与える
- 《心理学》〔強化因子により反応を〕促進する、強化する
(引用:「アルク英辞郎」より)
過去の「都市評価」は、日本語の翻訳も紹介されています。
まとめ:建築の将来性がある都市とは?
グローバル社会になり、建築士や技術者の中には、海外に関心を持つ人も増えています。
どんな物件でも設計し施工する時は、周辺の地域環境を無視できません。
物件がある都市や国の情勢も考慮する必要があります。
都市全体の環境が良くなり、国内外問わず人を惹きつける魅力が出ると、それだけ建築の仕事も活気づきます。
東京も都市指標では、上位にランクインしていますが、世界の中で見れば、将来性も含めまだ未知数です。
A.T.カーニー会社(A.T.Kearney)の評価が全て正しいとは限りませんが、都市の見方の参考にはなります。
建築士や技術者の今後の仕事に役立たせるためにも、海外の生情報に触れてみてください。
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